COLUMN
経営者の退職金はいくら準備するべきか
経営者の退職金に公的な保障がない理由
会社員は厚生年金や勤務先の退職給付制度によって、退職後の生活の一部を支える仕組みがあります。一方、経営者(役員)の場合は、退職金を受け取れるかどうかは会社の規程や決議によって決まるため、会社が計画的に準備しておかなければ、退職時に十分な資金を用意できない可能性があります。
とくに中小企業の経営者は、退職金の支給時期が事業承継のタイミングと重なることが多く、会社の資金繰りへの影響も踏まえた準備が求められます。
退職金の目安を考える「功績倍率法」とは
役員退職金の水準を考える際の一般的な考え方のひとつに、功績倍率法があります。「最終報酬月額 × 在任年数 × 功績倍率」で計算する方法です。
ただし、これはあくまで一般的な目安のひとつです。適正額は会社の規模や業績、役員の貢献度、退職の事情によって異なり、税務上の取り扱いについても個別の判断が必要です。具体的な金額の判断は、顧問税理士などの専門家にご確認ください。
- 最終報酬月額:退職時点の役員報酬の月額
- 在任年数:役員として在任した期間
- 功績倍率:役職や貢献度に応じて会社ごとに設定される係数
退職金の準備方法と、それぞれの留意点
準備方法としては、内部留保による積立、保険を活用した準備、共済制度の利用などが考えられます。どの方法にも、資金の流動性・費用負担・税務上の取り扱いといった留意点があります。
保険を活用する場合は、解約返戻金の水準や、途中で解約した場合の受取額が払込保険料を下回る可能性など、契約内容をよく確認することが大切です。保険の位置づけや出口の考え方については、経営者保険の出口戦略の基本もあわせてご覧ください。
退職金準備を始める前に整理したいこと
準備を始める前に、次のような点を整理しておくと、無理のない計画を立てやすくなります。
退職金規程が未整備の場合は、まず規程の整備から検討することが一般的です。制度の考え方は役員退職金の基本ポイントで解説しています。
- 想定する退職時期と、後継者への引き継ぎ時期
- 会社の資金繰りと、無理なく積み立てられる金額
- 退職金規程の有無と、株主総会での決議の手続き
- 保険を活用する場合の、契約内容と解約時の取り扱い
専門家に相談しながら進めることが大切です
退職金の金額や支給時期には、断定的な基準はありません。会社の状況を踏まえ、顧問税理士や保険の専門家と相談しながら進めることをおすすめします。
法人保険秘書では、退職金の準備に関するご相談も承っています。詳しくは退職金・退職慰労金の準備のページをご覧ください。
よくある質問
- Q. 経営者の退職金は、いくらくらい準備するのが一般的ですか?
- A. 一律の金額はありません。功績倍率法などの考え方が用いられることはありますが、会社の規模・業績・退職の事情によって異なります。具体的な金額は顧問税理士等にもご確認のうえ、個別に検討することをおすすめします。
- Q. 退職金の準備に保険を使うことはできますか?
- A. 保険を活用して準備する方法もあります。ただし、契約内容によっては解約時の受取額が払込保険料を下回る場合があるため、内容をよくご確認いただくことが大切です。
- Q. 退職金規程がまだありません。何から始めればよいですか?
- A. まず退職金規程の整備を検討するのが一般的です。あわせて、想定する退職時期と会社の資金繰りを整理すると、準備の方向性が見えやすくなります。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の税務・法務判断については、税理士・弁護士等の専門家にご確認ください。